場面緘黙の子どもへの対応

場面緘黙の子どもへの対応

場面緘黙の子どもとは?

場面緘黙の子どもは、家庭では普通に会話できるのに、学校や公共の場では話せなくなることがあります。

これは単なる性格や恥ずかしがり屋ではなく、場面緘黙の子どもは特定の場所や状況で強い緊張や不安を感じやすい特徴があるため、声が出せなくなるということが起こります。

場面緘黙の子どもの特徴

  • 家族や親しい友人の前では普通に話せる
  • 学校や園、知らない大人の前では声が出にくい
  • 緊張で身体が固くなる、表情がこわばる
  • 「話したい気持ち」はあるが、不安が強く声に出せない

恥ずかしがり屋との違い

恥ずかしがり屋の子どもは、時間が経てば慣れて会話できるようになります。
一方で場面緘黙の子どもは、時間が経っても不安が解けず、長期間にわたって話せない状態が続く ことが特徴です。

もし「外で話せない状態が6か月以上続いている」場合は、専門家への相談も検討するとよいでしょう。


場面緘黙が起こる原因と背景

場面緘黙は、子どもがわざと話さないのではなく、不安や緊張によって声が出せなくなっている状態です。
主な要因としては以下が挙げられます。

  • 社会的な不安や内気な性格
  • 他人から評価されることへの強い恐れ
  • 学校や園での人間関係によるストレス
  • 過去のトラウマ体験
  • 家庭環境や生活の変化

これらの要因が重なることで、「話したいのに声が出ない」という状況が生じます。


場面緘黙の子どもへの対応方法

場面緘黙の子どもをサポートするには、「無理に話をさせない」こと が大前提です。
焦らず、子どものペースに合わせて関わることが、安心と自信につながります。

1. 無理に話をさせない

「どうして話さないの?」と問い詰めたり、「話しなさい」と強制することは逆効果です。
話せないこと自体が子どもにとってつらいため、プレッシャーをかけないようにしましょう。

2. 安心できる環境をつくる

初めは保護者が同席し、子どもが安心して過ごせる雰囲気を整えます。
たとえばレッスンの場面で、先生が保護者に自然に会話をふり、子どもを会話に含める形をとると効果的です。

3. 自然な会話に子どもを含める

「昨日の夕飯はハンバーグだったんです」と保護者が答え、先生が「おいしそうだね!○○くんもたくさん食べた?」と自然に会話を広げます。
このとき、子どもが答えなくても大丈夫。「答えなくてもいい雰囲気」 が、安心につながります。

4. 言葉以外のコミュニケーション手段を活用

話すことが難しい場合は、うなずき・ジェスチャー・カードや絵などを使って気持ちを伝えられるようにしましょう。
「声を出さなくても伝わる」経験が、子どもの安心感を高めます。

5. 小さな成功体験を積み重ねる

いきなり会話を目標にせず、「うなずく」「手を挙げる」といった行動から始めます。
少しずつ達成感を積み重ねることで、自信を取り戻していけます。

6. 専門家のサポートを受ける

学校のカウンセラーや発達支援の専門家、児童心理士に相談するのも有効です。
認知行動療法や療育など、専門的な支援によって改善が期待できるケースも多くあります。


まとめ|場面緘黙の子どもに必要な対応とは?

場面緘黙の子どもは、話さないのではなく、不安で話せない状態にあります。
そのため大切なのは、叱ることや無理に話させることではなく、安心感を与え、子どものペースに寄り添う対応です。

「外で話せないのは困ったこと」ではなく、「今は声が出にくいけれど、心の中では会話している」ということを理解し、周囲の大人が温かく支えることが、子どもが自信を持つ第一歩になります。

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