アスペルガー症候群「感情の後出し」が起こる理由と関わり方
アスペルガー症候群のある子どもは、感情の感じ方や表し方に独特の特徴を持つことがあります。その一つが「感情の後出し」と呼ばれる現象です。
これは、ある出来事に対してその場では感情が表れず、時間が経ってから感情がはっきりと出てくるというものです。
この記事では、アスペルガー症候群と感情の関係、とくに「感情の後出し」について、その理由と関わり方を整理します。
アスペルガー症候群とは
アスペルガー症候群は、自閉症スペクトラム(ASD)の一つで、主に社会的コミュニケーションや対人関係に困難さが見られる特性です。
言葉の発達に遅れは少ないことが多い一方で、表情やジェスチャーといった非言語的な情報の理解や、柔軟な思考をすることに課題があることがあります。
また、特定の興味や関心に強い集中力を持つことも特徴の一つです。
「感情の後出し」とは何か
感情の後出しとは、ある出来事に対してその場では感情が表に出ず、後になってから感情が湧き上がる現象です。
たとえば、
- 学校で叱られたときは平然としていたのに、帰宅後に急に泣き出す
- 失礼なことを言われてもその場では気づかず、後から怒りを感じる
といった形で現れることがあります。
これは「感じていない」のではなく、感じ取って整理するまでに時間がかかるという特性によるものです。
なぜ感情の後出しが起こるのか
① 感情の認識に時間がかかる
アスペルガー症候群の子どもは、自分の内側で起きている感情を認識するまでに時間がかかることがあります。
そのため、その場では感情としてはっきり自覚できず、後から気づく形になります。
② 感情を表現することが難しい
感情をどう表現すればよいかがわからず、その場で言葉や態度に出せない場合もあります。
これは、感情表現のスキルが未発達であることによります。
③ 社会的な場面での抑制
その場の雰囲気や周囲の期待に合わせようとして、無意識に感情を抑えることもあります。
その抑えられた感情が、後になってから感情が噴出することもあります。
感情の後出しへの関わり方
① 感情を受け止める
後から感情が出てきたときは、まずは子どもの感情を受け入れ、理解しようとする姿勢が大切です。
「どうして今泣いているの?」ではなく、「学校で何かあったの?」と聞くことで、子どもは自分の感情を表現しやすくなります。
② 感情を言葉にする手助けをする
「今日、一番楽しかったことは何?」となどといった具体的な質問を投げかけることで、子どもが感情を言葉にしやすくなります。
③ 振り返る時間をつくる
一日の終わりに、「今日どんなことがあった?」と振り返る時間を持つことで、感情の整理がしやすくなります。
④ 感情について学ぶ機会をつくる
感情カードや絵本などを使って、感情の種類や名前を学ぶことも役立ちます。
⑤ 必要に応じて専門家の支援を受ける
感情のコントロールや表現方法に困難を感じる場合は、心理士や発達支援の専門家のサポートを検討するのも一つの方法です。
まとめ
アスペルガー症候群の子どもに見られる「感情の後出し」は、感情がないのではなく、認識や表現に時間がかかることによって生じる現象です。
周囲の大人がその特性を理解し、感情を受け止め、言葉にする手助けをすることで、子どもは安心して自分の気持ちと向き合えるようになります。
その積み重ねが、感情の理解と自己表現の土台になっていきます。








